環境漫才への招待

39. 或る旧友との対話

― そりゃあ、異常気象や天災を別格にすれば、やっぱり温暖化問題だろう。ロシアがやっと京都議定書を批准した。ホットエアーのカネ欲しさだろうとなんだろうと、あのブッシュに組しなかったことだけはひとまずよしとしなけりゃあ。泥棒に追い銭になれば困るけど。

― うん、だから政府も産業界も内心ガッカリしてるかもねえ。温暖化対策大綱の見直しがどうなるか、炭素税は導入されるのか、第二約束期間に向けての日本のスタンスをどうするのか。これからいよいよコイズミ政権の真価が問われるよ。ま、炭素税はたぶん時間切れ見送りで、導入されても二、三年後だな。

― 三位一体改革とやらでごみ処理は財政援助なしで自治体任せになるんじゃないかと心配だ。

― もちろん、補助金でガチガチにしばるのは反対だけど、一般財源化すれば、ごみ処理対策なんて後回しって自治体が山ほどでてきて、ごみ処理体制はがたがたになりかねないぜ。

― そうかもしれないが、ツケを一部の住民に押し付けたままでいいとは思えない。そもそも現行の廃掃法そのものが限界に来ているんだ。拡大生産者責任原則をどうするか、処理困難物をどうするかというような問題を棚上げにしたまま、補助金撤廃なんてとんでもないよ。そういう意味では、目的限定でソフト面にも対応可能な交付金に衣替えという環境省案に落ち着いてほしいんだけど応援団もいなさそうだしなあ。

― うん、いちばん残念だったのは、この間自治体の環境部局の生の声が一切聞こえなかったことだ。事態をいちばん知っているかれらがどう思っているかを知りたかったんだけど。

― 岡目八目、そのほうがよく見えることだってある。だから学生たちには個別の環境問題を深くというよりは、それが政治や社会や経済とどう関わっているか、また環境問題同士が社会的にどう関係してるかなんて話をしてやってるんだ。研究者やダイオキシン・オタクは山ほどいるけど、こういう話をするのはそれほどいないからねえ。

― それだけじゃない、個人HPも開いたぜ。(http://www.prof-h.net)

(平成16年11月20日)